7月28日に開催された第16回モーアシビーフリースクール。
ゲストは書アート作家の書浪人善隆さんと、スプレーアーティストの外間信太郎さん。
第1部トークショーの後は、場所をTERMINAL OkinawaCreativeSpaceに移して第2部ワークショップを開催しました。
第2部ワークショップ
「書とスプレーで紡ぐDNAアートワーク」
善隆さんの書アートと、外間さんのスプレーアートがコラボするワークショップとは?
2人は今回のために、とっておきのアイデアを考えてくれたようです。その内容は、参加者の皆さんにはまだヒミツ。
まずは、善隆さんによる書のレクチャーからスタート。墨はつけず、筆の持ち方、使い方から学びます。
「目の前の紙に筆をどんっ!と置いてみて。遠慮しないで思いきって根元まで押しつけちゃいましょう。
書道は筆先が命だから、これって書道界ではNGだけど、僕たちがこれからやるのは書アート。自由に使っていいんです」
次は、墨をつけた筆で目の前の半紙にどんどん書いていくワーク。
○や□を書いたり、ただまっすぐな線を書いたり、自分の名前を書いたり。
「ストレスがあるかないか、自信があるかないか、これでその人自身が見えてくる。おもしろいくらい性格が出るんですよ」と善隆さん。
書いては捨て、書いては捨て、失敗を恐れず、思いのまま筆を使ってどんどん書いていく。真剣だけど、なぜか笑顔がこぼれる。みんなとっても楽しそう!
書アートで大切なのは、自分のスペースを思い描くこと。
太い線から細い線、下から上、右から左、どうやって空間を使うか。なんなら、紙からはみ出してしまってもいい。書き順だって自由でOK!
善隆さんが、ルールにとらわれないことの楽しさを教えてくれます。
ここで、おもしろい実験を。まず、「心」という文字をいつもの書き順で書く。
次に、書き順を反対にした逆再生で書いてみる。文字を書くというより、絵を書くイメージ。
文字を分解して考えることで、自分流の空間使いを実現できるのだとか。
「難しい!」と声をあげながら書く参加者のみなさん。
そんなちょっとしたストレスを経たあと、今度はなにからも解放され自由に「心」を書いてみる。
すると、心の点をハートマークにした人も!
「素敵な遊び心ですね。お手本がない中で、個性を表現できるのがアートの楽しいところ」と善隆さんも、嬉しそう。
書アートの楽しさを味わった後は、いよいよスプレーアートとのコラボワークへ。
登場したのは、透明な画材インク。
「DNAは親から受け継いだもの。それを確認するのは名前だからね」と善隆さん。
そして「この魔法のインクを使ってイラストボードに名前を書くと、あとでおもしろいことになります」と、外間さんがニヤリ。
参加者の皆さんは、なにがなにやらわからないまま、言われたとおり魔法のインクを使って自分の名前をイラストボードに書いていきます。
「では、今書いた名前の上に、スプレーを吹きつけていきましょう!」
えーー! せっかく書いた上にスプレーを!?
戸惑う参加者の皆さんを前に「芸術は一度ぶっこわさないと! ぐちゃぐちゃにしちゃって大丈夫!」と、外間さんがまたニヤリ。
一同、会場の外に準備されていたスプレースペースへ。
さまざまな色の缶スプレーがずらり並ぶ中で、「スプレーは簡単なように見えて、意外と思ったとおりに線が出ないんです。たぶん、皆さん失敗します(笑)」と、外間さんが冗談まじりで難しさを解説。
スプレーと一言でいっても、そのノズルの吹き出し口には、楕円や扇型など、いろいろな形があって、それぞれ噴射形状が異なるのだとか。
太い線を描きたいとき、繊細な線を描きたいとき、シーンによってノズルを変えて使い分けることが多いそうです。
今回は、初心者でも描きやすい正円形のノズルを用意。いよいよ初めてのスプレーアート体験がスタートです。
きれいに塗りたいときは、スプレーを離してゆっくり少しずつ。近づけると、液だまりができたり、液がたれて、味のある仕上がりに。
「みんな上手ですね! 色をたくさん使ったほうが楽しいですよ。街の落書き小僧になったつもりで楽しんでください」と外間さん。
会場内に戻り、ドライヤーでスプレーをしっかり乾かした後は、いよいよおもしろコラボ企画の発表。
「では、魔法のインクで書いた文字のところを指でこすってはがしてみましょう!」と、ワクワクの展開。
なんと、インクをペリペリはがすと、最初に書いた文字が浮かび上がってきました!
善隆さんと外間さんが、試行錯誤して考えた書とスプレーのコラボ。題してペリペリ!
「楽しい~!」「気持ちいい~!」みんな無心でペリペリ。
「ネタばらしできるこの瞬間を楽しみにしていたんです」。
善隆さん、外間さんも、自身の作品をペリペリ。
ペリペリ終了後は、額装して完成!
スプレーできれいなグラデーションを表現した人、筆先のかすれ具合がいい味を出していた人、マット紙であえて文字の先を切り、枠をはみ出すイメージの拡がりを見せた人。
それぞれの作品を発表して、2人の講師から「みんな個性が出ていて素晴らしい!」と感想をいただきました。
「お手本をつけるのが書道や習字。これがないとアートになる。今日は、その楽しさをみんなで体感できて嬉しい」(善隆さん)
「ペリペリは最後の最後まで読めない、見えない感じがおもしろい。またどこかでこのコラボスタイルを続けていきたい」(外間さん)
モーアシビーフリースクールのために、善隆さん、外間さんがアイデアを出し合って誕生したペリペリスタイル。
書とスプレーの意外なコラボ。驚きと喜びをみんなで共有できた刺激的なワークショップとなりました。
またいつか、どこかでペリペリできる日を楽しみにしてます!
PHOTO/TAKUMI TAIRA