5人のジュエリーアーティストがやんばるを歩き、そこで出会った素材をモチーフにジュエリーを作る「モーアシビーやんばるジュエリー」シリーズ。
素材探しのインスピレーションツアーは、2チームに分かれ第1弾、第2弾と開催されました。
第1弾に参加したのは、「PROOF OF GUILD(プルーフオブギルド)」の竹内稔さん、「Môko Kobayashi」の小林モー子さん、「Fillyjonk(フィリフヨンカ)」の平岩尚子さん。
初日は、那覇空港から車で2時間ほどの本部町にある「沖縄美ら島財団」へ。海と山の生物スペシャリストによる座学が行われました。
まずは、森林生態学を専門とする阿部篤志さんのお話。
野生植物が担当で、日々絶滅危惧植物の調査や保護・保全研究に取り組まれている方です。
初めに配布された「琉球の植物」というクリアファイルには、沖縄の植物写真と名称が掲載。「ここに載っているのは、植物界のアイドルたちです!」と、目を輝かせて解説する阿部さん。とても嬉しそう。植物が大好きなのが伝わってきます。
スライドを見ながら、やんばるの森の特性、沖縄にある野生植物の多様性を紹介。
阿部さんが森へ入り、自ら撮影した希少植物の写真が続々と映し出されます。
絶滅危惧植物は、「採ってはいけない、傷つけてはいけない、移動してはいけない、販売してはいけない」。そんなふうに法律で厳しく規制されているのだとか。
法律を破ると、個人の場合、罰則が500万円! 企業だとなんと1億円!
一見、どこにでもあるような植物。3人も「知らないで採っちゃいそう!」と言うほど。その違いがわかる阿部さん、さすがです。
続いては、サンゴ類の形態分類学、生態学を専門とする野中正法さんのお話。
「沖縄美ら海財団」が運営する「沖縄美ら海水族館」の説明からスタートです。
「沖縄美ら海水族館」の特徴は、沖縄の海に棲む生き物だけを集めていること。
沖縄には、浅い海から深い海まで、それはそれはいろいろな生き物が棲んでいるのだそう。
もうひとつ大きな特徴は、すぐ前に海があるという環境から、水槽への水は海からの掛け流しであるということ。水質管理がほぼ必要ないので、ほかでは飼えない珍しい生き物が飼えるのだとか。サンゴに至ってはなんと、放っておいても勝手に生えて、勝手に卵を産むという理想的な環境が実現しているそうです。
サンゴは動物である。そして、一般的にみんなが珊瑚だと思っている物体は、実は骨の部分で、本体はやわらかいところである。
初めて知る話に一同驚き! サンゴのイラストが立体的に見える緑と赤の眼鏡を装着して楽しんでみたり、大興奮の座学となりました。
翌日はいよいよ、話に聞いたやんばるの森へ。
植物博士の阿部篤志さんによるナビゲートで、絶景の橋の上から「ブロッコリーの森」の異名があるイタジイの森を眺めたり、森から流れ出る湧き水を飲んだり、ウワサの絶滅危惧種の植物を目の前で見たり!
沖縄は、ちょうど梅雨の季節。しとしとと雨が降る中、足を踏み入れた「やんばる国立公園」では、立ちのぼる土と木の香り、水滴をまとった緑の美しさに惚れ惚れ。森が生きていることを実感しました。
阿部さんが「皆さんに見せたい植物がある」と、道なき道をゆく黄金乃森へも登山。
岩をつかんでよじ登り、足元を泥だらけにしながら辿り着いた頂上には、一面靄が広がる天空の景色が。
あまりの幻想的な光景に、「沖縄ってすごい」としばらく呆然。阿部さんに教えて頂いた希少な植物もしっかり鑑賞でき、無事に下山しました。
続いて、沖縄本島で最大規模のマングローブ(ヒルギ林)が生育している慶佐次川エリアを訪ね、この日は終了。
最終日は、サンゴ大好きな野中正法さんのナビゲートで「沖縄美ら海水族館」へ。
「オキちゃん劇場」でイルカショーを観た後は、特別にイルカとの触れ合いも。「ドルフィントレーナーになりたかった」というモー子さん、平岩さんは大興奮。
この日は、沖縄滞在最終日にして初めての晴天。海洋博公園の敷地内にあるビーチでしばしひと休み。「泳ぎたい!」という願い叶わず、足だけ浸かり、透明度抜群の海を束の間楽しみました。
ツアー最後は、ヨーロッパの宮殿を思わせる建物が魅力的な「熱帯ドリームセンター」へ。
2,000株以上のランが展示されているほか、熱帯・亜熱帯の花々が咲き、トロピカルフルーツが実る、見どころたっぷりのスポットです。蓮の花が咲く池や、美しく手入れされた庭園、高さ36メートルの神秘的な遠見台などもあり、夢心地の世界。「海洋博公園内に、こんな素敵な場所があるなんて知らなかった」と一同、感激。
3人が「こんなにディープな沖縄体験は初めて」と語った3日間のツアー。
アレもいいし、コレもいい。何をどう作品に落とし込むべきか悩ましい。そんな話をしながら空港へと向かう充実のツアー締め括りとなりました。
次回は、第2弾レポートをお送りします。
PHOTO&TEXT/NORIE OKABE